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本年4月から、大分県弁護士会内に「すべての性の平等に関する委員会」が発足しました。
読んで字のごとく、両性の平等だけをテーマとするのではなく、全ての性、即ち、LGBTなども念頭に置き、性に関する多様性を尊重し、その人権を擁護することがすべての性の平等に関する委員会の使命です。
これまでも多くの弁護士会では両性の平等に関する委員会が置かれ、特に女性の権利擁護(男女間の格差や差別の是正のほか、セクハラ防止等)を使命として先駆的な活動が展開されてきました。しかし、大分県弁護士会では、その必要性自体は共通認識があったものの、既に存在する人権擁護委員会の活動に委ねればいいのではないかとの空気感があり、両性の平等に関する委員会の設置は見送られてきました。
しかし、この度、大分県弁護士会は、一足飛びに、すべての性の平等に関する委員会の設置に踏み切ったのです。今後の活動方針としては、まず、LGBTなどについて正確な知識を持つ必要があることから、外部から講師を招いて会内勉強会をすることが決まっています。その後はどのような活動を展開していくか、まだ何も決まってはいませんが、楽しみでもあります。
ご承知のとおり、私は、このブログ欄で、過去に何度も女性の権利擁護の問題だけでなく、LGBTの権利擁護の問題に触れてきました。この点は、「VOL.1 性同一性障害~制服を考える」、「VOL.3 女性の再婚禁止規定について~6ヵ月の再婚禁止期間」、「VOL.4 職場におけるハラスメント~セクハラ・パワハラと対策」、「NO.19 妊娠・出産の自由」、「NO.43 両性の本質的平等と多様性と個人」、「NO.53 学校の制服」をご参照ください。
なんと気づけば、既に6回も、これらの問題についてつぶやいていたのですね。
私自身の問題意識としては、さまざまな生活分野で少数派とされる人たちに寄り添いたい、まさしく多様性が尊重されて、誰もが自分らしく生きられる世の中であってほしいという単純な考えであり、同時に、これこそが人権を考える原点だとも考えていますので、両性の平等にとどまらず、すべての性の平等に関する委員会を我が大分県弁護士会が立ち上げたというのは非常に誇らしい思いです。
ところで、先にも見たように、私はこのブログ欄でも何度もLGBTの問題に言及していますし、日常生活においても比較的関心は高い方だと思います。ですので、いろんな場面でLGBTの権利について考えたり、発言したりすることもあるのですが、そのようなときに、時々、「あんまりこんなことばっかり言っていたら、僕もLGBTだと思われるのではないか」と考えたりすることがあります。そして、気がつくのです。これこそが私の中にある偏見や差別意識だと。LGBTだけでなく、すべての多様性が当たり前のこととして受け入れられる状態こそ人権だと頭では考えながら、自分は少数派だと思われたくないという、恐怖心と言っていいのかわからない、なんとも表現できない、嫌な気持ちを自覚します。
そして思うのです。こうした少数派だと思われたくないという恐怖心や複雑な感情がごちゃまぜになって、ときに人をして少数派を攻撃させるいじめなどにつながるのではないかと。
すべての立場に自分が同化することは不可能です。ですから、自分の立ち位置は自覚しながら、他の人の立場や気持ちをどうやったら推し量り、尊重できるのか。人権を考える職にある者として、永遠の命題だと思います。
(2018.6.7)