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No. 41 ~二院制について~|大分県中津市弁護士中山知康

1 最近、新たに結成された政党の関係者が、憲法改正の論点として「二院制の廃止」に言及していました。

現在は衆議院総選挙を控える中、おそらくこうした論点について落ち着いた議論はできないでしょうから、選挙後に改めて議論がなされるものと思います。

2 ところで、以前から二院制については廃止を訴える方と存続を訴える方の両方がいて、ただその問題意識については多くの人にはあまり伝わっていない状態なのではないかと感じます。そもそも二院制ってなに?なぜ二院制があって、今廃止を議論する理由はなに?というのが多くの方が感じているところではないでしょうか。

ですから、この論点についても、今後いろんな場面で問題意識を高めて議論を深めていく必要があると思います。

3 ところで、二院制の存在理由や反対に今問題とされている点について簡単に触れると、日本の二院制自体は、日本国憲法制定にあたって、もともとマッカーサー草案には予定されていませんでした。

これに対して、当時の(すなわち、占領下の)日本政府が、明治憲法下の貴族院の伝統もあるでしょうが、多数派による専制を抑制し、また、多数派に熟議を促す意味でも二院制が必要であるとして二院制の採用を強く主張し、日本国憲法では衆議院と参議院の二院制が採用されたという経緯があります。

4 そこで、日本の二院制の特徴を見てみると、日本は連邦制でもなければ、貴族制度も有していませんので、日本の二院制は民主的第二次院型と呼ばれるものに分類されます。

要するに、第1院である衆議院だけでなく、第2院である参議院も同じく全国民の代表(憲法43条)であり、その役割は、①権力分立(第1院と第2院の併置による抑制均衡、相互監視)と、②民意の多角的な反映にあるということになります。

5 この権力分立という側面については、連邦型の二院制や貴族院型の二院制も共通して持つ特徴であり、わかりやすく言うと、二院が対置されることによって相互に牽制しあい、権力の集中と濫用を防止できるということです。

さらに言うと、日本の議院内閣制の下では衆議院の多数派が内閣総理大臣を指名し(日本国憲法67条2項)、内閣を組織することになっていますので、いわゆる政府与党というのは衆議院の多数を占めた勢力のことを指すことになり、場合によっては参議院と政府与党とが対立し、相互に牽制しあうという図式も成り立ちます。

つまり、日本の二院制では、衆参両議院が相互に抑制、チェックしあうだけでなく、参議院と内閣との関係も相互に抑制・監視しあうという構図になり、参議院には、権力分立という観点から見たとき、大きな役割が与えられていることになります。

6 こうしてみると、日本の二院制は、まさに立憲主義に根差し、権力の濫用を抑制するために存在するという面があります。

他方で、この特徴は、時に決められない政治と揶揄されるような副作用もあります。それは、その時々の多数派が、何かを変えたり、推し進めようとするときに、衆議院については解散総選挙によって議会の構成・勢力図を即座に変えて実権を握ることができ、目指す政策の実現に向けてつき進めるのに対して、参議院については任期が6年で解散はなく、しかも、3年ごとに半数ずつしか改選されないことから、衆議院の多数派となった勢力が参議院と対立したときには、議論を重ね、場合によっては数年かけて国民全体を説得し、参議院の構成・勢力図が変わるまで粘り強く待たねばならないからです(もちろん、予算や条約承認、内閣総理大臣の使命の場面だけでなく、法律の制定についても衆議院は参議院よりも優越することが定められていますが、法律の制定だけは、衆参の意見が一致しないときは、最終的に衆議院の3分の2以上で再可決しない限り、法律は制定できないのです。)。

そのため、ねじれ国会とか決められない政治などといった負の側面が強調されることもあるのですが、実はこれこそ、立憲主義の正常な作用でもあるのです。換言すると、参議院の存在は、多数派となった勢力が、いわば権力をほしいままに行使することによって急進的に進もうとするときに、これに一定の歯止めをかけうることになり、それこそが参議院の存在理由であり、制度設計者の思惑でもあるのです。

7 日本の二院制のもう一つの特徴は、前述の②民意の多角的な反映ということですが、実はこの面こそがいま議論されるべき課題だと思います。

  というのは、現在の選挙制度は衆議院参議院ともにほとんど同じようなものとなっており、そのため、衆議院も参議院も同じではないか、同じなら二つもいらないのではないかということが言われるからです。

  ただ、参議院の存在理由が、民意をより多角的に反映すること、つまり、衆議院だけではなく、より異なった視点からの民意を国会に持ち込めるようにすることで、議論に深みも慎重さも持たせることにあるのであれば、選挙制度や議員選出の方法を衆参で異なるものになるよう工夫すべきなのであって、現在の衆参の選挙制度がほとんど同じようなものになっていることこそ問題なのです。

8 ですから、同じような存在なら二つはいらないというのは、問題の本質を見誤った議論だと思いますし、本当に議論すべきは、民意を多角的に反映するという理念をやめるのかどうかだと思うのです。

  同じく、決められない政治をやめるために参議院はいらないという場合には、その裏側のリスク、つまり、一時的に多数派となった勢力が急進的に次々と変えていくことが可能になるということをどのように受け止めるのか、その点の議論や覚悟が必要となります。

  いずれにしても、二院制の問題にしてもその他の論点にしても、まさに民意を多角的に形成・反映しつつ、急進的にではなく、じっくりと議論を深めていく必要があると思います。

(2017.10.4)