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vol.8 ~被害者加害者~ 交通事故|弁護士のつぶやき|大分県中津市弁護士中山知康

vol.8  ~ 被害者加害者 交通事故



私ごとですが、今日は私の父の祥月命日です。

既に他界して42年が経過したことになり、今さらお話しする必要もないことかもしれませんが、父は仕事から帰宅する際、歩行していたところを、交通違反の車2台に挟まれる形で交通事故に遭い、亡くなりました。

その意味で、私の父は犯罪被害者の一人であり、私たち家族は被害者遺族ということになるのかもしれません。もっとも、当時私はまだ幼かったため、被害者だとか遺族だとかいうことを意識したことはあまりありませんでしたが、幼心にも、悪いこともしていないのに、どうして母は苦労し、私たち兄妹はどうしてその姿を見ていなければならないのかと考えたことが何度もありました。

当時はまさに交通戦争と呼ばれる時代で、交通政策も被害補償制度も貧弱で、かつ、父の事故の加害者の一人が無免許で車を運転していた少年だったとか、加害者二人とも大した問題にならなかったとかいったことを後に知り、理不尽さを感じたこともありました。

ですから、私は、被害者や遺族の気持ち、やりきれなさも憤りもよくわかるつもりだと思っています。

他方で、大人になって自分で車を運転するようになってから、そして、特に弁護士という仕事に就いてからというもの、交通事故を起こした方にお会いする機会が多いため、もしかしたら、いつか自分も重大な事故の加害者になるかもしれない、明日は我が身かもしれないと思うことが多くなりました。

いろいろな事件の当事者(被害者にも加害者にも)にお会いする中で、例えば、窃盗とか殺人などの事件を自分が起こすことはまずないということは、漠然とですが、ある程度確信を持って言えるのですが、過失犯、特に、交通事故などについては絶対に起こさない、絶対に加害者にならないとは言いきれないと思わざるを得ません。

ですから、年を取るほど運転が慎重になってきましたし、また、不急不要の運転はしたくないとも思うようにもなってきました。もっとも、車はやはり便利であり、必要性があるのも確かです。しかし、車に関してだけは、被害者と加害者は紙一重、いつ被害者になるか、いつ加害者になるかわからないし、でも、どっちにもなりたくないと強く思うのです。

願わくは、車の環境性能などもどんどん向上させてほしいですが、同時に、安全性を向上させる性能や制度をもっともっと追及してほしいと思います。その意味では、自動操縦装置とか、障害物等に対応するためのレーダー装置、夜間の視認性を補完する設備などももちろん重要ですが、それよりもっと前の問題として、例えば、車の免許を持っていない人は車が買えない制度、交通違反を繰り返す人については、もはや車社会から退場してもらう制度(より長期にわたって免許を取得できなくする制度)、有効な免許証を差し込まない限り車が発進しない装置、呼気を検知してアルコール等が検出されれば車が発進しない装置など、比較的簡単に導入できると思うのです。

道具が悪いわけじゃなくて、使う人が悪いのだという言い方はよく聞きますが、人はミスも犯せば、過ちも犯す生き物です。ですから、車に限らず、危険なもの、特に人身に被害を及ぼしかねない道具や設備に関しては、それを使う人が過ちを犯すという前提で、より強固で慎重な歯止め策を講じたほうがいいと思います。それによって多少は煩わしくなるとしても、困りはしませんから。困るのは、ミスをする可能性を認識していながら、そうした面倒な歯止め策のないまま、危険な道具を使い続けたいと思っている人の方でしょうから。

それこそが、被害者にも加害者にもならずに済む最善の方法だと思うのですが、いかがでしょうか?                                  (2015.4.16)