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vol.9 ~無関係と無関心について~|弁護士のつぶやき|大分県中津市弁護士中山知康


vol.9 無関係と無関心について



もうかなり以前の話ですが,私の長女が小学生で、もうすぐ3学期が終わるという時期に,学校で,先生に宛てて寄せ書きを送ろうという話が持ち上がったことがあったそうです。
それで,みんなで準備を始めたところ,一部女子児童から,その先生宛てには寄せ書きを書きたくないという不満が漏れ,なかなか,全員で書くということにはならずに,苦労したことがあったそうです。

その理由は,以前,一部男子児童がその先生の言うことを全く聞かず,先生もそれに手を焼き,教室で泣き出してしまったことがあり,そのとき,つい感情的になってしまった先生が,「もうこのクラスはどうでもいいです。仕事として付き合いますから。」と口走ってしまったとか。その言葉はすぐに撤回したようですが,寄せ書きを書かないと言い出した女子児童たちは,クラスがダメなんじゃなくて,一部男子が悪いだけ,自分は関係ないのにクラス全体がダメみたいに言った先生が許せない,ということで,寄せ書きを拒んでいたとのことでした。
この事態に,長女は,その数人の女子児童を宥め,なんとか説得して寄せ書きを完成しようと奮闘したそうです。その理由は,一つは先生のため,一つには書かないと言っている女子児童のためにも,その方がいいと考えてとのことでした。
私は,長女に対して特にアドバイスらしいことはなにも言えませんでしたが,なんとなく気になることがありました。

それは,一部男子が悪いだけで,私は関係ない,という女子児童たちの言葉です。

なるほど,確かに騒いだり,悪いことをしたのは,その男子児童たちなのかもしれません。

しかし,そのクラスの他の児童には全く責任はないのでしょうか?

別に連帯責任とかを言っているわけではありません。

しかし,独裁制ならともかく,学校も含めて,民主的に運営している社会において,一部悪いことをする人たちがいても,それは自分には無関係,自分には何の責任もない,と言えるのでしょうか?
私は,なんとなく,今の社会の縮図を見ているような気がしたのです。
私たちの社会では,一定数の犯罪が発生し,暴力団員もおり,また,反対に,貧困や格差の問題もあり,その他にもたくさんの問題点を抱えています。

しかし,それは,私たちには全く無関係で,責任は全くないと言えるのでしょうか?

これはヤクザを利用したことがあるかとか,格差や貧困の陰で大もうけしたかとかそういった問題ではなくて,こうした問題があることは知っていながら,未だ変えられない,改善できていないことについて,我々にも責任はないかという問題です。
わかりやすく言うと,政治について,悪い政治が行われたり,悪い政治家を選べば,それは我々にも責任があるということについては,おそらく否定する人は少ないでしょう。

それは,民主主義であり,我々が政治家を選ぶことができ,我々が政治を変えることもできるからだと思います。

先ほどお話しした,社会の矛盾や問題点も,実は同じだと思うのです。

究極的には,政治やその他の制度・政策によって解決する問題かもしれませんが,我々には少しずつですが,こうした問題を解決し,解消するための力が与えられているはずです。そうであれば,未だ変えられず,問題が山積している状況について,我々にも少しずつは責任があるのではないかと思うのです。

国内の問題に限らず,世界中で起こっている飢餓,貧困,紛争その他諸々の問題についても,やはり私たちには,本当に少しずつですが変える力が与えられていて,なのに,まだ効果的にその力を結集できていない,だから変えられない,そういう意味で,やはり少しずつは,私たちにも責任があるのではないかと思うのです。

お話ししたかったのは,民主主義社会に生きる私たちは,国内であれ,国外であれ,社会のさまざまな問題について,決して第三者ではないし,傍観者であってもいけない,当事者なのだと改めて考えたということです。

ノーベル平和賞を受賞したマララさんは,まだ少女ながら,まさにこうした責任を自覚し,教育,特に女子教育という観点から世界を変えていこうとしているのではないでしょうか?                                       (2015.4.28)