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No. 45 ~最近の事例(約24億円全面勝訴)のご報告~|大分県中津市弁護士中山知康

1 先月、立て続けに記者会見を開きました。1件は公的病院で発生した非常に重大な医療過誤事件について和解が成立する見通しが立ったことによるものであり(患者側代理人として)、もう一件は建設会社の代理人として、大手金融機関からの合計約24億円にも上る貸金返還請求を排斥し、逆に、建設会社の本社不動産上に設定していた担保権(根抵当権)の抹消と、建設会社が金融機関に預けていた預金約1億5000万円について全額返還するよう金融機関に命じる判決をもらったからです(なお、金融機関が控訴したため、今後、高等裁判所で裁判が継続することになります。)。

  基本的に私は、守秘義務の問題もありますし、なにより自慢げに書くことに気が引けるので、このブログで個別の事件に触れることはあまりしていないのですが、今回は特に大きな意義(われわれ法曹実務家にとっても)のある判決をもらい、当事者本人からも承諾を得たので、今日はその事件のことをお伝えするため、できだけ正確にお話ししたいと思います。

2 上記の建設会社の事件とは、大分地裁平成26年(ワ)第267号等事件(債務不存在確認等請求事件、貸金返還請求事件、根抵当権設定登記抹消登記請求事件の合計4つの事件が併合されています。)のことであり、私たち(私のほかに、2名の弁護士と共同受任です。)の依頼者である建設会社とは大分市内所在の地元建設会社のことです。反対に、相手方である金融機関とは主業務は金融ではないはずですが、全国組織を有し、各県・各地に所在する大きな金融機関です。

  ところで、上記事件の争点は、形式的には建設会社と金融機関との間では金銭消費貸借契約書が作成されているものの、その融資取引は、真の借主(いわゆるディベロッパー)に対して金融機関が直接貸付できなかったことにより編み出された迂回融資であって、名義を使われただけの建設会社には返済義務はないのではないか、逆に金融機関側としては建設会社に対して迂回融資による名目上の貸金の返還を求めることはできないのではないかというものでした。

  この争点の法律的な意味をこの場でわかりやすく説明するのは難しいのですが、要するに、金融機関としても、もとから建設会社に対して貸付をする意思も、建設会社から返済を求める意思もなかったにもかかわらず、真の借主に対する迂回融資を実行するために建設会社の名前を借りただけなのであるから、(真の借主の経営が破たんした)後になって、契約書上は建設会社が借主になっているからといって、建設会社に返済を求めることなど許されないのではないかというものです(民法では、94条又は93条但し書きの問題となります。)。

3 結論は、冒頭に書いたとおり、裁判所はこちらの主張を全面的に認めてくれて、金融機関の請求額約24億円は全て排斥し、反対にこちらの請求であった根抵当権の抹消と約1億5000万円の預金の返還請求は全面的に認容してくれました。

  請求額があまりに高額ですから、私たちとしても万一敗訴した場合のリスクなども考えながら(また、当然ですが、常に緊張しながら)訴訟を継続してきたのですが、結果は全面的な勝利でした。

4 全国的にも迂回融資が問題となる事例というのは決して少なくないとは思いますが、逆に、裁判所が正面から迂回融資を認め、それを金融機関側の事情(いわば金融機関主導の迂回融資)と認定した上で、金融機関の主張や請求を全面的に退けた例というのは決して多くはないと思います。それは、形式的とはいえ、一応、金銭消費貸借契約書が作成されている以上、記名押印した者は金銭支払義務を免れないという先入観があるためだと思います。

  その意味で、本件で、私たちの主張が全面的に認められた意義は、法律実務家にとっても、今後とても大きいと思うのです。

5 前述したとおり、そして、裁判所が認定したとおり、本件は、金融機関とディベロッパーが主導した典型的な迂回融資でした。

即ち、ディベロッパーが必要としていた大規模宅地造成資金について、表面上、あたかも請負業者(ディベロッパーから工事を受注した建設会社)が金融機関からお金を借りた形にして、実質的にはディベロッパーに融資を実行し、そこから建設会社は工事代金だけを受け取るという奇怪な融資方法が実行されたのです(形式的には、建設会社がディベロッパーから工事代金を受け取るために、その工事代金そのものについて融資を受けたような形になっており、いかにも不自然・不合理な融資取引となっています。)。

 このような誰の目から見ても不自然な融資方法が取られた理由は、いったん着手してしまった大規模宅地造成事業の継続と完遂を目指していた金融機関とディベロッパー側の事情によるものであって、建設会社側の事情によるものではないことは明らかでした。

そうであるからこそ、工事継続中、建設会社はことあるごとに形式的とはいえ債務者とされている状態を改めて、担保等を抹消するよう金融機関側に要請してきましたし、金融機関もその交渉に応じ、平成13年の時点では一期工事完成時点での債務抹消(表面上建設会社を債務者としていた融資について、全てディベロッパーを債務者とし直す)を約束したり、平成16年の時点でも、平成26年3月末まで大規模宅地造成事業(主に販売)を継続して、その時点で売れ残った宅地があれば、その宅地を金融機関が引き取って全ての債務を消滅させることについても合意していました。

  それにもかかわらず、こうした約束が実行されなかったことから、今回、建設会社は、負債も返済義務もないことの確認を求めて裁判所に訴え、その結果、裁判所はこちらの主張を全面的に認めてくれたのです。

6 ところが、その裁判の終盤、いよいよ金融機関の代表者(本件が典型的な迂回融資であることを直接知っていると思われる人物)を尋問する直前になって、金融機関は建設会社の本社不動産について、形式的に設定されていただけのはずの抵当権を実行し、競売の申立てをしてきたのです。

通常、裁判途中にあえて抵当権実行のような権利実現行為をすることはあまりなく、ましてや、裁判の終盤にそのような行為を強行するという例はあまり見聞きしたことがありません。

それにもかかわらず、本件で金融機関が抵当権実行を強行してきたことは、私たちにとっては、金融機関代表者の尋問や、本件裁判そのものを妨害しているものとしか考えられないものでした。要するに、本社不動産の競売を申立てられ追い込まれた建設会社が、裁判よりも事業継続を優先して、これ以上の裁判続行を断念し、金融機関側と何らかの和解をするように仕向けているとしか考えられないものだったのです。

現に、本社不動産の競売を申立てられた建設会社は、これにより、対外的な信用が失墜し、既に契約していた顧客からも工事の完成や建設会社自体の事業の継続を危ぶまれるほどの状態に追い込まれました。また、材料や下請けなどの取引業者との間でも、これまでの取引ではなく、いわゆる現金払いでの取引を迫られる事態にまで追い込まれ、企業経営自体を揺るがしかねないほどの、筆舌に尽くしがたい大打撃を受けました。


建設会社は創業以来50年余りにわたって信用を築き上げてきた会社であり、これまで資金繰りも順調であったため、銀行取引も一行取引の堅実な経営をしてきた会社です。上記の不動産競売事件についてはその後裁判所の決定を得て手続きは止まり、また、建設会社の信用も徐々に回復しつつありますが、それでも、上記不動産競売を申立てられたことによる損害ははかり知れません。

私たちとしては、金融機関のこのようなやり方には到底納得ができませんので、今後、金融機関に対して、さらに損害賠償請求訴訟を提起することも検討しているところです。

(2017.12.4)