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No. 31 ~魔女狩り~|大分県中津市弁護士中山知康



最近、アメリカ大統領がメディアなどからの批判に対して、SNSなどで「魔女狩り」だと反論しています。

しかし、最高権力者が、自身に対する批判を「魔女狩り」と言って切って捨てたり、非難することは妥当なのでしょうか。そもそも許されるのでしょうか。

「魔女狩り」という言葉は、調べてみると、まだその意味するところについて定説はなく、定義もあやふやのようです。

その意味では、最高権力者が自らに対する批判を「魔女狩り」だと反論することも許されるのかもしれません。

ただ、「魔女狩り」という言葉のイメージからは、多数派や権力者に対する批判や非難の場面ではなく、どちらかというと、少数派や異端者に対するいわれのない迫害を想起します。この点は、多くの人がそう感じているのではないでしょうか。

そして、そうだとすると、最高権力者が、自身に対する批判や非難を浴びた際に、それは「魔女狩り」だと言って反論したり、切り抜けたり、批判をかわそうとすることは許されないのではないでしょうか。

なぜなら、最高権力者は、どう見ても少数派でもなければ、異端者でもなく、いわれのない迫害を受けている被害者ではないからです。

つまり、本質的に、社会的にも経済的にも政治的にも被害者ではありえない側の人が、あたかも迫害を受けている被害者のようにふるまって、ごまかそうとしているという印象がぬぐえないのです。

この点は、日本でも、最近同じようなことを感じることがあります。最高権力者の発する「印象操作」だという言葉がそれです。印象操作、別の言い方をすれば「レッテル貼り」という言葉もそうですが、これもどちらかというと、少数派が権力者に対して批判や非難する場面ではなく、多数派や権力者の側が、少数派や異端者に対して汚名を浴びせたり、悪い印象を与えようとするときに使うのが一般的な感覚だと思うからです。例えるならば、必ずしも先生からよく思われてはいない生徒が、先生から、お前は~~だとか、お前はきっと~~な人間になる、などと言われたときに、レッテル貼りじゃないかと反論するような場面です。

ですから、どうしても、最高権力者が、自身に対する批判や非難に対して、印象操作だとかレッテル貼りと言って切り抜けようとするのは、使い方が違うのではないかという違和感をぬぐえないのです。

いずれにしても、最高権力者には、最高権力者らしく振舞ってほしい、小手先の言葉で交わすのではなく、がっぷり四つに組んだ横綱相撲に徹してほしいと思うのです。

(2017.7.14)