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No. 28 ~共謀罪について~|弁護士のつぶやき|大分県中津市弁護士中山知康


昨日、共謀罪(テロ等準備罪)が国会で成立しました。

その成立プロセスも異例ですが、そもそもの立法の必要性や立法による市民生活への影響、今後の捜査の在り方への影響等、様々な人が多数の懸念を表明している中で、どの程度疑問や懸念が解消されたのか、甚だ疑問があります。

が、既に成立してしまったので、今後の運用状況の監視こそが重要になってくると思います。

ところで、この共謀罪に関する疑問点等は既に公表されている多数の意見や見解で詳細に触れられているので、この点はそれらに譲って、今後運用状況を見守るために注意しておくべき点を考えてみたいと思います。

といっても、すぐに問題になりそうな微妙な案件に適用することは、さすがにないと思いますので、長い目で運用状況に変化が起きていないかを見守っていく必要がありそうです。

まず、第一に注意すべきは、どのような人ないし集団を対象として検挙、立件するかです。一般人なのか、それとも組織的犯罪集団の構成員であるとか周辺人物であるのかといった線引きはもともと曖昧です。そもそも組織的犯罪集団というのが何を指すのか、どのような団体をもって警察等が組織的犯罪集団と認定するか自体がいわば捜査機関の裁量に委ねられている面が強いからです。

もっとも、運用開始から最初の数年間は、捜査機関としても権限の濫用を批判されるような愚は犯さないはずですから、いわゆる固い事件、即ち、誰が見ても組織的犯罪集団と認められるような団体だけを対象として、捜索差押をしたり、逮捕勾留をしたりするのかもしれませんが、それがどこかの段階で変化、拡大しないか、明らかに組織的犯罪集団とまでは言いにくい、少なくとも人によっては違う見方の成り立つ団体が、組織的犯罪集団として捜査対象とされないかを、長い目で見守っていく必要があると思うのです。

よく言われることですが、労働組合とか反原発、反基地運動などの団体がすぐにこうした規制対象ないし捜査対象にされることはないと思います。ただ、捜査機関としても、せっかく与えられた権限を使いこなしたい、いいかえれば、権限を拡大したいとの欲望に常にさらされるのは必定です。権力や権限は、それを濫用しないように、抑制的に使いこなすというのは、簡単なようで非常に大変なことであり、だからこそ、そこに携わる人間の不断の努力(自ら権限濫用を戒める心構え)も必要ですが、なによりも、権限や権力の濫用を抑制するための制度や装置がしっかりしていなければだめだと思うのです。

しかし、残念ながら、今回の法整備では、そうした権限や権力の濫用を抑制したり、監視するための制度や装置はどう見ても不十分であり、単に、そこに関わる捜査機関の個々人の心構えに委ねられている面が強いといわざるを得ないのです。これでは精神論であって、どんなに信用すべき人たちが警察官になっても、正直、不安だというほかないのです。

ですから、今後は、本当に長い目で、共謀罪の運用状況を見守っていくこと、適用対象が少しずつ拡大されていないかを監視していくことが極めて重要であり、そのためには、マスコミには随時、共謀罪の適用事例を報道してもらいたいと思います。

そして、そこでは、実際に立件されたかどうかだけではなく、捜索や差押がなされた事案についても、目を広げてみていく必要があると思います。なぜなら、実際に立件までは至らなくとも、捜索や差押の対象とされるだけでも、普通の市民は十分に震え上がりますし、場合によってはテロリストや犯罪集団などとのレッテルだって張られかねません。その意味では、立件されなくても、捜査対象とされるだけで、十分に委縮効果はあり、警察等から目を付けられると、団体活動そのものが成り立たなくなる恐れが強いのです。

もう一つ、長い目で注意深く見守っていく必要があると思うのは、共謀罪の適用のために、どのような捜査手法が使われるようになるかということです。

先般、令状なしでのGPS捜査は違法だと判断されましたが、共謀罪を適用しようとすれば、おとり、GPS捜査、盗撮、盗聴、さらに新しい科学技術を駆使した監視方法など、人権侵襲的な捜査手法が必要不可欠になってくるでしょう。なぜなら、準備行為を捉えて規制対象とするといっても、結局、謀議、即ち、内心や計画そのものを把握できなければ何が準備行為にあたるのかが全くわからないからです。そのため、捜査機関としては、内心や計画を外部から窺うための捜査手法として、プライバシー権や思想良心の自由を侵害しかねない前述の捜査手法に頼らざるを得ないことになってくると思います。

こうした捜査手法を抑制するためには、裁判所が令状によって適切にコントロールしていくことがなにより重要です。

しかし、そればかりには頼っていられません。令状主義は、権力の濫用を抑制するために編み出された極めて重要な人権の砦ではありますが、令状審査をする裁判官も人間であり、しかも、その数は限られています。

より安全を期するなら、どのような捜査手法が用いられているか、年間どのくらいの数用いられているか、そのような捜査手法を用いた結果、どのような処分がなされたのかなどの情報が、もっと多くの人の目に映るようにしなければならないと思うのです。特に、そのような捜査手法が用いられた結果の公表は重要だと思います。なぜなら、結果を公表しなければならないとすることで、無用あるいは無限定な情報収集活動を抑制できるからです。

ほかにも今後目を配っていくべきことは沢山ありそうですが、なによりも、今後長い目で監視していくこと、それを忘れないようにしたいところです。       (2017.6.16)