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No. 46 ~礼儀と礼節~|大分県中津市弁護士中山知康



1 最近、礼儀と礼節という言葉を聞く機会が多い気がします。

連日のようにテレビで、大相撲の横綱の引退に至るまでの過程や引退会見での、「礼儀と礼節」という言葉を耳にするからです。

ところで、昨今の礼儀と礼節という言葉の使われ方からは、いかにも日本的な美徳のようにも受け取られがちですが、もちろん日本に限ったことではなく、世界中、いろんな国や集団で礼儀と礼節は存在し、大切にされていると思います。

もちろん、各国や各集団で、文化や世界観、宗教観が異なりますので、大切にされるべき礼儀や礼節にも違いはあるでしょうし、その大切にされる度合いも異なるでしょうけれども、年長者や経験を積んだ、いわゆる目上の人を大切にするのと同様に、同僚はもとより、自分よりも若い人、経験の浅い人に対しても、相応の敬意と節度をもって接することは、世界共通の礼儀と礼節だと思います。それは、人が社会の中で他の人と共同生活を営む上で必要な知恵であり、だからこそマナーとか礼儀が古今東西大切にされていると思うのです。

その中でも、目上であれ、目下であれ、暴力を振るわないというのは、世界に共通の、最低限の礼儀と礼節なのではないかと思います。

2 私が日ごろ関わる法的紛争では、確かに「暴力」の存在が目につきます。それは、家庭内、会社内など、いろいろな場面で未だに存在し、関わった人たちを傷つける、毒のような存在です。DV、体罰、いじめ、いろいろな言葉が用いられますが、その本質は人が人に暴力を振るうことという点で共通であり、この暴力によって、暴力を受けた人は心身ともに傷つき、暴力を振るった人は相応の制裁を受けることになります。

この点で悲しく感じるのは、間違った人を正すためであれば、多少の暴力は許されるという誤解が未だに多くの人に共有されているのではないかという点です。現に学校での体罰はなくなりませんし、その際、生徒に問題があったかのような言い訳もしばしば耳にします。家庭内の問題も同様です。

しかし、どんな事情があろうとも、暴力は暴力です。その名前を体罰とかしつけと言い変えてみても、その本質は何も変わりません。単に自分の感情を爆発させ、相手にぶつけるだけの行為でしかありません。それによって得られるものは何もなく、相手も自分も傷つけるだけなのです。

だから、暴力は、法律で禁じられ、制裁の対象となります。つまり、暴力を振るわないことは、最低限の礼儀と礼節のはずなのです。

3 今回報じられている事件では、今のところ日本相撲協会の中間報告が公式発表のように扱われていて、そこでは暴力を振るった人やそれを傍観、つまり事実上容認していた人たちの話しか出てきていません。しかし、この加害者側の言い分だけを前提にしても、暴力を振るわれた人が何らかの抵抗をした、つまり暴力を振るい返したという事実はないようです。

そうすると、今回の事件では、暴力を振るった人は、自分よりも目下の(つまり抵抗しにくい立場の)人に、しかも、無抵抗の人に対して、発表されていることを前提としても十数発素手で叩く、あるいは殴る行為を継続し、さらにカラオケのリモコンで数回殴りつけたということになり、常軌を逸した暴力事件であったことは明白なのだろうと思います。

これが、最低限の礼儀と礼節を欠く行為であることは、もはや疑う余地もないと思います。

4 その立場の方が暴力を振るわれた人の非礼を述べてみても、何の説得力もないことは明白でしょうし、暴力を振るわれた人の非礼が暴力の発端であるかのように発表する業界団体の姿勢も、暴力は場合によっては許されるという誤解をした人たちの集団なのではないかという疑問を抱かせます。

現段階では真相はまだ明らかではありませんが、いずれにしても、最低限の礼儀と礼節はわきまえた方がいいのではないかと思う次第です。

(2017.12.6)